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英文契約書の訳し方・注意すべき点まとめ

英文契約書の訳し方1.長文の理由を知る

日本の契約書に比べ、英文契約書は長い文章で構成されていることが一般的です。文章が長くなる主な理由を3点ほど見てみましょう。

英米は判例法の国だから

日本の法体系は成文法(条文が存在する法体系)ですが、英米の法体系は判例法(過去の判例に基づく法体系)です。判例法には準拠条文が存在しないため、契約に必要な全ての内容を契約書に記載しなければなりません。その結果として、契約書の文章が長くなります。

Parole Evidence Rule(口頭証拠排除原則)があるから

英米の契約関係における裁判には、Parole Evidence Rule(口頭証拠排除原則)があります。裁判で口頭による約束や覚書、念書などを示しても、契約書に記載されていない内容は証拠にならないという原則です。
そのため、あらゆることを想定した内容を契約書内に記載しなければならなくなるため、契約書の文章が長くなります。

取引における根本的な考え方が違うから

日本人同士の契約では、何らかの紛争が生じた場合には事後的に当事者同士で誠実に話し合う、という姿勢が基本となります。一方で英米における契約では、起こるか起こらないか分からない紛争まで想定しておくべきという考え方があるため、必然的に契約書の文章が長くなります。
英文契約書を翻訳する時には、契約後に生じうるリスク、および、各リスクが生じた際の対処法を明確にして翻訳する必要があります。相手に対して隙のない翻訳をすることが、プロの英文翻訳者に求められる大事なスキルになるでしょう。

英文契約書の訳し方2.主な契約書の種類を知る

主な英文契約書を10種類ご紹介します。

Sales Agreement / 売買契約

売買を成立させるための契約のこと。英文契約書においては、継続的な取引を判断する前の一回限りの試験的な売買で頻繁に見られる契約です。

Service Agreement / サービス契約

サービスの提供やサービスへの対価について取り決めた契約のこと。日本における業務委託契約や請負契約、コンサルタント契約、仲介契約などに該当します。

License Agreement / ライセンス契約

技術や商標、キャラクターなどの知的財産権の保有者が、第三者に対してその権利の使用を認める契約のこと。第三者は、主に自社の販促を目的にライセンス契約を結びます。

Non-disclosure Agreement / 秘密保持契約

当事者間で知りえた一定の情報について、他に漏洩しないよう約束する契約のこと。本契約を結ぶ前の交渉段階で、秘密保持契約が結ばれることがよくあります。

Distributorship Agreement / 販売店契約

外国企業を販売店として指名し、その企業に自社商品を買い取らせて現地の小売店やユーザー等に販売させる契約のこと。通常、販売店にはサプライヤーの商標使用権が与えられます。

Sales Agency Agreement / 販売代理店契約

外国企業を販売代理店として指名し、その企業に自社商品の販促活動を行わせる契約のこと。販売店契約とは異なり、販売代理店はサプライヤーの商品を買い取る必要がありません。

Joint Venture Agreement / 合弁事業契約

日本企業と外国企業が共同出資して法人を設立する際などに締結する契約のこと。運営方針や解散時の条件等、取り決めるべき事項は多岐にわたります。

Merger and Acquisition Agreement / M&A契約

会社買収や事業譲渡、事業承継などに関する契約のこと。事業や債権・債務などの範囲を明確に定めて契約する必要があります。

Technical Collaboration Agreement / 技術提携契約

企業同士で互いの技術を貸与し合い、新製品の開発を協力する契約のこと。また、企業が金銭的対価と引き換えに他の企業へ自社の技術を貸与する契約も、技術提携契約の一種となります。

Employment Agreement / 雇用契約

日本でいう雇用契約と同じ契約。外国で現地の人を雇用する場合には、原則としてその国の労働法に従う必要があります。業務内容・時間・給与などについても、現地の労働法に準拠して契約しなければなりません。

※参照サイト:
https://www.mkikuchi-law.com/article/14675552.html
https://www.mkikuchi-law.com/article/14651129.html
https://www.mkikuchi-law.com/article/14913178.html
https://www.mkikuchi-law.com/article/14595742.html
https://www.mkikuchi-law.com/article/14681760.html
https://www.mkikuchi-law.com/article/14681665.html
https://kslaw.jp/column/detail/5144/
https://sogyotecho.jp/contract-tech/#:~:text=

英文契約書の訳し方3.「一般条項」を理解する

個別の契約内容とは別途で、一般的に定められる契約を広く一般条項と言います。過去の判例に基づいた一般的な契約で、多くの英米の契約書に一般条項が設けられています。
主な一般条項の例を8種類ほど見てみましょう。

Duration / 契約期間

契約が始まる日と終わる日に関する条項。契約終了後に契約が自動更新される場合には、その旨が記載されます。

Secrecy / 秘密保持

契約当事者における第三者への情報漏洩を禁じる条項。情報漏洩による想定外の損害を回避することが目的です。

Assignment / 譲渡禁止

契約上の地位や権利を他に移転することを禁じる条項。多くの契約書では、相手方の同意なき契約上の地位・権利の譲渡が禁止されています。

Force Majeure / 不可抗力

当事者双方に責任のない事由で発生した債務不履行について、履行されなくても良いとする条項。戦争や大規模自然災害などによる債務不履行を想定しています。

Termination / 契約解除事由

契約が解除となる事由に関する条項。債務不履行や信用毀損などが生じた際の契約解除条件が具体的に記載されます。

Notice / 通知

何をもって当事者同士の「有効な通知」とするかを定めた条項。通知方法、通知内容の伝達先、通知の効力発生時期などについて詳しく記載されます。

Governing Law / 準拠法

外国企業と取引をする際、どちらの国の法律に準拠して契約書を解釈するかを定めた条項。各国の法律が異なる以上、あらかじめ準拠法を定めておかなければ、様々な解釈に相違が生じます。

Jurisdiction / 管轄

契約当事者間に紛争が生じた場合、どちらの国の裁判所で紛争の解決を図るかを定めた条項。ここに定めた国以外の裁判所に訴えを提起しても、その訴えは却下されます。

英文契約書の訳し方4.独特な表現を把握する

英文契約書の中には、同じ単語でも日常語とは異なる意味で使われる単語が頻出します。英文契約書を日英・英日に翻訳する際には、それらの意味の違いをよく踏まえて翻訳しなければなりません。
以下、日常語とは意味の異なる主な単語を見てみましょう。

単語 日常語での意味 英文契約書での意味
books 帳簿
action 行動 訴訟
motion 動作 申し立て
bench ベンチ 裁判官(集団)
party パーティ/政党 当事者
presents プレゼント 本状/本証書
service サービス 送信
bar 棒/バー 弁護士(集団)
Consideration 考慮 約因/対価
suit スーツ/適する 訴訟
title 表題/役職 権原/所有権/役職
interest 関心/興味 利息/権益
omission 省略 不作為
instrument 楽器/道具/器具 文書/証書
shall ~だろう ~するものとする
provided 提供された ただし
may ~かもしれない ~できる

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