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ポストエディットとは?機械と人による翻訳方法を解説

依頼前に知りたいポストエディットの基本

ポストエディットとは?

機械翻訳(自動翻訳)で生成された訳文を翻訳者がチェック・修正して仕上げる方法がポストエディットです。
機械翻訳は、データベースから入力文に最も近い訳文を自動で翻訳を行います。翻訳が直文の羅列に近い結果になる弱点がありましたが、「ニューラル機械翻訳(AI翻訳)」の登場によってより自然な訳文が得られるようになりました。
しかし、語訳や訳抜けなどの問題は残っており、正確な翻訳をするためにポストエディットが広く行われています。

ポストエディットの種類

フルポストエディット(FPE)

低コスト・短納期で翻訳文を大量に処理できる機械翻訳の利点と人間の翻訳者による自然な文章表現という、両方のメリットを生かした翻訳方法が「フルポストエディット」です。
翻訳者が原文の背景を加味しながら表現を調整するため、社内で共有されるプレゼンテーション資料やマニュアルなどに向いています。定型表現が多い見積書や請求書などで使用すると、時間とコストの削減が期待できるでしょう。

ライトポストエディット(LPE)

機械翻訳で出力された訳文に意味が通じる程度の最低限の手直しを行う「ライトポストエディット」は、英文メールや社内限定で閲覧される資料のような情報共有を目的とした文書に向いています。「意味がわかればよい」という程度のものならライトポストエディットがよいでしょう。

「ライトポストエディット」と「フルポストエディット」は提供している会社によって定義が異なるため、サービスの内容を確認したうえで依頼しましょう。

ポストエディットの流れ

  1. 機械翻訳(AI翻訳)ツールを使用して翻訳する
  2. 翻訳者が原文を読んでその内容を理解する
  3. 翻訳者が機械翻訳で翻訳された訳文を読む
  4. 原文と機械翻訳を照らし合わせる(情報の正確性やニュアンス、文化的背景を考慮した表現など)
  5. 翻訳者の手によって誤訳や誤字脱字を修正する

ポストエディットの必要性とは?

AIの進化と共に機械翻訳の精度は上がり、自然な文章を出力できるようになりました。しかし、文法的に複雑な文章や長文を翻訳するときに意味の取りこぼしが起きやすく、直訳調で読みづらい文章が出力されやすい傾向があります。
特に専門用語や固有名詞、業界特有の表現は、訳し切れず誤訳につながるリスクがあるでしょう。契約書や法務関係の文書の場合、認識の相違による法トラブルの危険があります。トラブルに発展すると相手方からの信用を失うリスクもあるため、専門性の高い翻訳者によるチェックが必要です。

ポストエディットのメリット

コスト削減になる

機械翻訳で原文を翻訳し、人間の翻訳者が内容をチェックするポストエディットは、原文の翻訳からチェックまで全部人間が行う翻訳よりも人件費が抑えられるため、依頼コストを抑えられるというメリットがあります。
依頼する翻訳のレベルによっては高度な翻訳技術を持つ翻訳者を必要としないため、チェッカーのコストを抑えた価格でポストエディット翻訳サービスを提供する会社も増えてきています。
依頼前に求める翻訳の精度や予算の上限を社内で決めておくと、修正対応による追加コストの発生も抑えられるでしょう。

スピード対応ができる

一般的な翻訳は人間が原文をゼロから翻訳し、チェッカーが校正するため時間がかかりますが、機械翻訳のスピードを生かしたポストエディットは人手のみの翻訳に比べて効率的に翻訳できます。
例えば1日の平均処理量でいえば、人手翻訳が約3,500~4,000文字に対してポストエディットでは約9,200~9,600文字と、スピードは2倍。ただし、翻訳する文書の分野や内容・使用する機械翻訳エンジン・翻訳者の能力・ネイティブチェックの有無などによって作業効率が大きく異なるので、注意してください。

品質を担保しやすい

ポストエディットは人によるチェックを加え、機械翻訳で出力された専門用語の誤訳やまわりくどい表現を修正して文章に整えています。
日本翻訳連盟が制定した日本語訳の基準「JTF日本語標準スタイルガイド」に合わせてスペルや数字、フォントなどの表記を統一。原文の意図やニュアンスを汲み取りつつ、機械翻訳の不完全な訳文を読みやすく機能的な文章へと校正します。
人間によるチェック方法には、2人以上の翻訳者が異なる視点からチェックする「クロスチェック」と、原文を母国語としたネイティブによる「ネイティブチェック」などがあり、品質の担保も可能です。

ポストエディットのデメリット

品質にばらつきがある

ポストエディットは一度機械翻訳したものを人間がチェックするため、最初に出力された機械翻訳の訳文の品質が悪いと仕上がりのよくない訳文ができるリスクがあります。
例えば、IT分野の専門用語に強い翻訳エンジンはテクニカルな文書に使用すると高品質な翻訳が期待できますが、一般的な事務文書やマーケティング資料の翻訳では誤訳や訳抜けが発生しやすくなるでしょう。
依頼する前に、翻訳会社がどんな翻訳エンジンを使っているか・チェッカーの能力などを確認しておくと、イメージに近い訳文を手に入れることができるでしょう。

時間短縮にならないケースがある

機械翻訳は文書の背景や目的、文脈とは関係なく文書を翻訳するため、複雑な構造の文書や感情表現が入り混じった文章を翻訳すると表記ゆれや文のつながりが不自然になるケースもあります。
会社の規定の仕様や用語独などの独特な表現があると機械翻訳文の修正に時間がかかるため、あらかじめどの程度まで翻訳者が手直しするかを決めるのがポイント。感情表現や比喩の多い文章、高い専門性が求められる文章では、最初から人手による翻訳を選んだほうが無難です。

ポストエディットの使いどころとは?失敗を避ける考え方

ポストエディットが向いているケース

ポストエディットは、「できるだけ早く翻訳したい」「大体の意味がわかればいい」「外部には出す必要がない」といった社内文書の翻訳ニーズに応えてくれます。
例えば海外から届いた契約書やメールの大意を迅速に把握したいときや、社内向けの説明資料や規約の下書きとしても有効です。
定型的な表現が多い見積書・発注書のほか、ネット上の公開情報や契約ひな形などの英訳にも効果的。完成文書として使う際は、英語に堪能な社内スタッフや英文契約に詳しい弁護士にチェックを依頼すると誤訳によるリスクを減らせるでしょう。

ポストエディットが向いていないケース

外部に発表するためミスが許されないプレスリリースやニュースレター、公式サイト掲載文などにポストエディットを使うのは適切ではありません。個人情報が組み込まれている秘密性が高い文書や、法務・技術などの専門性が高い分野の文書も同様です。
機械翻訳独特の直訳調の文体がなじまない、契約書や雇用規約などの重要文書の翻訳も、ポストエディットではなく人間の翻訳者に依頼するほうが安心でしょう。

専門性の高い翻訳を依頼するなら

海外企業との取引が増える中、英文メールや契約書、雇用規約など、英語文書の翻訳需要が高まっています。2025年に東証プライム市場においてIRの英語表記が義務化され、英語での決算書作成も必須となったことも要因のひとつです。
弊社ケースクエアでは、医療・法務・技術・金融・バイオなどの専門知識に精通した翻訳者が多数在籍しており、高品質な翻訳サービスを提供。ポストエディットでは、機械翻訳で生成された翻訳文を複数の翻訳者が「クロスチェック」の形で細かいところまで確認し、ネイティブスピーカーが「ネイティブチェック」で自然な訳文に仕上げます。
その他、専門家による翻訳や動画の翻訳サービスなど、予算やニーズに応じてさまざまな翻訳サービスを提供。機密保持契約書(NDA)を締結するためセキュリティ面でも安心です。
原稿が未完成状態でも見積もりが可能なので、翻訳に品質とスピードを求める企業担当者様はお気軽にお問い合わせください。

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まとめ

ポストエディットは機械翻訳の原文を人間の翻訳者がチェックする翻訳サービスで、大量の英文を低コストで迅速に翻訳したい場合に向いています。
一方、文学的な表現を含む文章や法的な精度が求められる契約書や雇用規約、専門用語の誤訳が許されない医学書や技術書などの翻訳には不向きです。
用途や内容によって適切な翻訳手法を選び、事前に自社で使う専門用語や規約などを打ち合わせておくと、修正する時間もコストもムダなく翻訳が行えます。