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合弁契約書の翻訳で失敗しないために|重要条項の訳し方・誤訳リスク・依頼先の選び方

翻訳前に知りたい合弁契約書の基礎知識

合弁契約書とは?

複数の企業が共同出資して立ち上げた会社を合弁会社といい、合弁契約書(Joint Venture Agreement:JVA)は合弁会社の運営方法や権利関係に関する規定を定めた文書を指します。出資比率や議決権、取締役の選任、重要事項の決定方法など会社の経営に関わる重要事項が記載されています。
海外企業と合弁会社を設立する場合は言語だけでなく会社法や商慣行も異なるため、契約内容を双方が正確に共有できる英訳や和訳が欠かせません。

合弁契約書で定める内容

合弁契約書に定められる重要事項をいくつか紹介します。

  • 合弁会社の目的・設立:取り組む事業の範囲、会社の設立地、商号など
  • 出資比率・議決権:各当事者の出資額や持株比率、株主総会における議決権の割合
  • 経営・意思決定:取締役の指名権、取締役会の構成、全会一致や特別多数を要する重要事項など
  • 株式の譲渡制限:第三者への自由な株式譲渡を制限し、先買権などの手続きを設ける内容
  • デッドロック条項:重要事項について合意できない状態が続いた場合に備え、協議・持分の買い受け・解散などの解決手順を定める条項
  • 合弁解消・Exit条項:契約違反や事業環境の変化などを踏まえ、株式売却・持分の買い受け・清算による撤退方法を取り決める条項

株主間契約や合弁会社定款との関係・違い

合弁契約と株主間契約は、取り決める内容に若干の違いがあります。
合弁契約は事業運営全体(出資・経営・利益配分・知財など)を幅広くカバーするのに対し、株主間契約は株主としての権利義務(議決権・株式譲渡制限・配当など)に絞り込んだ内容がメイン。そのため、新規事業なら合弁契約、既存会社への複数出資なら株主間契約を結ぶ傾向にありますが、実務上は内容が重複して一本化されるケースも珍しくありません。
次に合弁契約と合弁会社定款の違いですが、どちらも会社の組織運営に関する事項を定めるものの、法的拘束力の範囲が異なります。定款が株主だけでなく会社や取締役なども法的に拘束するのに対し、合弁契約は株主のみを拘束。違反があった場合、定款違反は「会社法上の違反」となりますが、合弁契約違反は「契約上の違反」として扱われる点が特徴です。
海外に現地法人として合弁会社を設立する場合、その会社は設立地の会社法に基づく定款を基本ルールとして運営されます。現地法を調べ、合弁契約で合意した事項を定款にも反映すべきか、対象国の専門家を交えて検討しましょう。

合弁契約書の翻訳が必要になる場面

海外企業と新たに合弁会社を設立する際

海外企業と新たに合弁会社を設立する際は、自社または相手方が作成したドラフトを締結前に確認するため翻訳が必要です。
交渉中の修正履歴も含めて両言語を照合すれば、合意内容の食い違いを防ぎやすくなるでしょう。

相手方から届いた英文契約書の内容確認

相手方から英文のドラフトが届いた場合、経営権・拒否権・株式譲渡などの条件を正しく把握しなければなりません。
相手方に有利な条項が含まれている可能性もあるため、概要だけで判断せずに定義や例外、期限まで確認できる翻訳が求められます。

既存の合弁契約の更新・見直し

出資比率の変更・事業範囲の拡大・役員構成の変更などに伴い、既存の合弁契約を改定する場面でも翻訳が必要です。その際、変更部分だけでなく定義条項や参照条項との整合性も確認しなければなりません。
改定前後の対照表を用意して削除・追加された文言と発効日を両言語で揃えておけば、社内承認や将来の見直しにも役立つでしょう。

合弁契約書を翻訳する際の注意点

合弁契約書の翻訳が難しい理由

経営権と意思決定に直結する条項が多い

合弁契約書には、持株比率・議決権・取締役の選任数・重要事項に対する拒否権など経営権の配分に直結する条項が少なくありません。
例えば、2社が全議決権を60%と40%で持つ合弁で原文が「議決権の3分の2以上による承認」を求めているのに「過半数の承認」と訳すと、本来は両社の同意が必要な事項を一方の株主だけで決定できると捉えられます。
数字や条件のわずかな訳違いが意思決定権限の理解を変えるため、条項全体の構造・例外・別条項への参照・数値を原文と照合する作業は非常に重要です。

日本法と現地法で対応する法概念が存在しない場合がある

デッドロック条項やプットオプション、コールオプションのように、日本法にない概念が存在する点も合弁契約書の翻訳難易度を上げています。
例えば、Deadlockを単に「意見の対立」と訳すだけでは協議不成立後に持分売買などの解決手続へ移る契約上の仕組みまでは伝わりません。
同じ日本語訳でも発動条件・通知期限・価格決定方法は契約ごとに異なるため、直訳で済ませず準拠法・定義条項・当事者が意図する法的効果を把握することが大切です。

定義語・繰り返し表現の一貫性を保つ必要がある

契約書で定義された語は、文書内で特定の意味を持つ言葉です。例えばJVを冒頭で「合弁会社」と定義した後に別の条項で「共同事業会社」と訳すと、同じ法人を指すのか別の対象なのかが分かりにくくなります。
定義語の揺れは条項の適用範囲に関する誤解につながるため、用語集を作成して単複・略称・関連する参照先を含めて全文で訳語を統一しましょう。

合弁契約書に頻出する用語の翻訳

用語 日本語訳 意味
Joint Venture Agreement(JVA) 合弁契約書 合弁会社の設立・運営や権利義務などを定める契約書
Joint Venture(JV) 合弁会社 複数の当事者が共同出資などにより設立・運営する会社
Deadlock デッドロック 重要事項について意見が対立し、意思決定できない状態
Right of First Refusal(ROFR) 先買権 第三者への譲渡に先立ち、一定の条件で他の当事者が優先的に買い受ける権利
Right of First Offer(ROFO) 優先交渉権 第三者との交渉前に、他の当事者へ売却条件の提示・交渉機会を与える仕組み

ROFRとROFOの手続きや効果は、契約の定義と条文によって異なります。日本語訳だけで判断せず、通知方法・回答期限・第三者への売却条件まで原文と見比べましょう。

合弁契約書の誤訳・訳漏れが招くリスク

経営権や意思決定をめぐるパートナーとの紛争

出資比率や議決権、取締役選任に関する訳が不正確だと、どの当事者が何を決められるかについて認識の相違が生じます。
交渉時の合意と翻訳文が一致しているか、数値・条件・例外の重点的な照合が欠かせません。

デッドロックの発生

デッドロック時には、当事者間の協議・第三者による調整・プットオプション・コールオプション・株式売却・清算などを段階的に実施する契約があります。
開始条件や通知期限、価格決定方法の訳が曖昧だと膠着時に手続きの理解が食い違い、問題が長期化しかねません。

想定外の義務・責任を負う

英文契約ではshallやmustが法的拘束力のある義務・mayが権利や許可を示すために用いられる場合が多く、best effortsなどは努力義務に関わる表現です。
特にmust、shall、mayの法的効果は単語だけで一律に決まるものではないため、条項全体や準拠法を踏まえて訳し分けをしないと義務の範囲や達成水準を誤解し、想定外の責任を負うリスクがあります。

訴訟・仲裁で不利になる

合弁契約の解釈自体が争点になった場合、裁判所や仲裁廷は契約書の文言をもとに当事者の意図を判断します。その際、条項の翻訳が原文とずれていると本来自社が主張したかった解釈が通らず、契約当事者間で合意していたはずの内容と異なる結論に至るおそれがあります。
こうしたリスクを避けるには、契約実務のノウハウを持つ翻訳会社を利用するのが賢明。特に準拠法条項・仲裁条項・免責条項・損害賠償条項といった紛争時に大きく関係する箇所は、翻訳後に原文と突き合わせるダブルチェック体制を敷くことをおすすめします。

合弁契約書の翻訳依頼先はどこが良い?

社内対応には限界がある

社内に法務英語と国際契約の知識を持つ担当者がいれば、翻訳に対応できる場合もあるでしょう。 しかし、契約書は一文が長く定義語や参照条項が多いため、翻訳に加えて原文との照合にも相応の時間がかかります。担当者が限られると通常業務を圧迫したり、品質が特定の人の経験に左右されたりしやすい点も懸念点です。
社内の専門性・作業時間・文書の重要度を踏まえ、締結用など高い精度が必要な翻訳は外部へ依頼する方法を検討しましょう。

AI翻訳には得手不得手がある

AI翻訳は、英文契約の概要を短時間で把握したい時や初稿を作成する際に役立ちますが、定義語を途中で別の言葉に訳す・否定や例外を取り違える・数字や参照条項を誤る可能性は否定できません。また、AI翻訳だけで法的なニュアンスや契約当事者の意図までを汲み取るのは困難です。
正式な契約文書に利用するのであれば、訳漏れ・定義語・専門用語・数値・固有名詞を原文と突き合わせ、人が契約全体の整合性を検証する工程が欠かせません。

翻訳会社に依頼するのがおすすめ

翻訳会社のメリット

翻訳会社を利用すると契約書や法務分野の経験を持つ翻訳者に依頼でき、用語の統一や第三者によるチェックも組み込みやすい点がメリットです。原文の構造を踏まえた訳し分けや、過去の翻訳資産に合わせた表記統一も期待できるでしょう。
ただし、翻訳自体は法的助言とは異なる点に注意が必要。条項の有効性や自社に有利かどうかの判断が必要な場合は弁護士へ相談しましょう。

翻訳会社の選び方

翻訳会社への依頼を検討する際のポイントを紹介します。

  • 契約書や法務文書の翻訳実績があるか:対象言語だけでなく、合弁契約や企業法務に関する対応経験を見極めましょう。
  • ネイティブチェックやクロスチェックの体制があるか:翻訳先言語の母語話者や別の翻訳者が訳文を点検する工程があるかどうかを確かめます。
  • 秘密保持(NDA)契約を結べるか:未公表の事業計画や取引条件を扱うため、情報管理の方法もチェックしましょう。
  • 翻訳証明書を発行できるか:提出先から証明を求められる場合は、対応の可否と記載内容を事前に聞いておきます。
  • 料金と納期の目安が明確か:文字数やワード数・難易度・校正工程・特急料金など、見積もりに含まれる範囲を比べましょう。

候補を比較する際は、原文と訳文の納品形式・用語集や過去訳の反映可否・納品後の質問や修正への対応範囲も判断材料になります。合弁契約は改定される場合があるため、今回確定した訳語を次回の更新時にも引き継げる体制があれば文書間の表記を統一しやすくなるでしょう。

弊社・ケースクエアは、契約書や法務分野の翻訳に対応し、専門分野を考慮した翻訳者の選定や秘密保持契約にも対応しています。人による翻訳とAI翻訳校正を含む複数のプランがあり、文書の用途や予算に応じて相談可能です。
依頼前に翻訳の品質が確かめられる無料トライアルもご用意しております。対象となる原稿や簡単見積りなど、詳細は公式サイトをご覧ください。

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