定款の翻訳(英訳)はどう進める?必要になる場面・注意点と提出先に通用する翻訳会社の選び方
翻訳前に知っておきたい定款の基礎知識
定款とは
定款とは、会社の目的・商号・本店所在地・資本金額・発起人・発行可能株式総数などの会社運営の根幹となる事項を定めた規則です。英語ではArticles of Incorporation(AOI)と呼ばれ、会社の骨格そのものを示す文書にあたります。
会社を設立する際には必ず作成しなければならない書類であり、「会社の憲法」に例えられるほど重要な位置づけの文書です。
定款の翻訳が必要になる場面
海外子会社・支店の設立や現地当局への提出
海外に現地法人や支店を設立する際は、現地当局や登記機関から日本の親会社がどのようなルールと機関設計で運営されているかを示す資料として定款の英訳提出を求められる場面が多くあります。
ここで誤訳や原文との不整合があると審査が止まり、設立スケジュールそのものに影響することもあるため、翻訳の正確性には細心の注意を払いましょう。
海外銀行口座の開設・金融機関の審査
海外の金融機関で法人口座を開設する際、本人確認(KYC)や会社の実在性確認の一環として定款の英訳提出を求められるケースです。銀行側は英訳を通じて誰に代表権があり、どのような手続きで意思決定が行われる会社なのかを確認しています。
M&A・投資家対応、国際取引・契約
海外投資家によるデューデリジェンス(DD)やM&A・国際取引の契約締結の場面でも定款の翻訳が必要です。相手方は代表権・取締役会の権限・株式譲渡制限といった意思決定に関わる条項を確認するために定款を確認します。
この段階で翻訳が不正確だと、デューデリジェンスや契約交渉そのものが長引く原因になりかねません。
ビザ・永住権などの各種申請
海外の投資家ビザにおいて、日本法人そのものが投資主体になる場合は投資家の国籍要件を確認する必要があるため、日本法人の株主構成や所有構造を示す資料として定款の英訳提出が求められます。
また、多国籍企業の管理職・幹部が永住権を取得する場合も定款が必要です。日本と海外間の資本関係を示す根拠資料として審査されます。
定款翻訳で押さえておきたい注意点
翻訳証明書・公証・アポスティーユが必要になることも
提出先によっては、定款の翻訳だけでなく翻訳証明書や公証・アポスティーユまで求められる場合があります。それぞれ役割が異なるため、違いを押さえておきましょう。
- 翻訳証明書:原本に基づいて正確に翻訳したことを、翻訳者や翻訳会社が証明する文書です。翻訳者名・翻訳日・宣言文・署名などが記載されます。
- 公証:翻訳証明書に署名した人物が実在すること、その人物が翻訳の責任を負っている旨を示す文書です。「翻訳内容の正確性」を保証する手続きではなく、あくまでも証明書を出した人物を証明する文書です。
- アポスティーユ:EU諸国やアメリカ、韓国などハーグ条約に加盟している国へ向けた国際認証で、文書が日本で正式に発行された公文書であること、印章・署名が正式なものであることを証明するものです。東京本省か大阪分室の外務省で取得できます。
- 領事認証:ハーグ条約に加盟していない国へ提出する場合に必要となる認証です。公証・外務省の公印確認を経たうえで、提出先国の大使館や領事館で認証を受けます。
どの認証まで必要になるかは提出先機関によって異なり、同じ国でも機関ごとに要件が違うケースもある点に注意が必要です。あらかじめ提出先へ要件を確認し、手戻りを防ぎましょう。
会社法特有の正確性が求められる
定款には発行可能株式総数・取締役会・監査役といった日本の会社法に基づく専門用語が頻出します。これらは直訳しただけでは海外の読み手に意味が伝わりにくく、誤解を与えかねません。
例として、「株式数」に関する用語の使い分けを見てみましょう。
- authorized:発行可能株式総数。定款で定めた発行上限を指す。
- issued:発行済株式総数。実際に発行した株式数。
- outstanding:発行済株式のうち現在株主が保有する株式数。自己株式を除いた実質的な流通株式数を指す。
このように、似た単語でも指している範囲は異なります。「発行可能総数」と「発行済総数」を誤訳すると、会社が今後どれだけ新株を発行できる余地があるかを投資家が判断できなくなってしまうのです。
AI・機械翻訳だけで対応するリスク
AIや機械による翻訳は、内容をざっくり把握する用途では役立ちますが、会社法特有の用語や言い回しを機械的に訳してしまい、意味がずれたり不自然な訳になったりするケースは少なくありません。提出用の正式な訳文としてそのまま使うにはリスクが残ります。
定款は会社の根幹を示す重要書類であるため、プロである翻訳会社への依頼がベターです。次の章では、翻訳会社へ依頼する際に押さえておきたいポイントを紹介します。
定款翻訳は翻訳会社への依頼がおすすめ
費用の目安と納期の注意点
翻訳料金は、原文の文字数・単語数をもとに算出されるのが一般的です。日本語から英語への翻訳では日本語1文字あたり、英語から日本語への翻訳では英語1wordあたりで単価が設定され、契約書や定款など専門性の高い文書は一般文書よりも高額になる傾向があります。
また、公証・アポスティーユ・領事認証まで必要な場合は翻訳料金とは別に手数料と日数がかかる点にも注意が必要です。手続き・発行までの期間も含め、スケジュールに余裕を持って申請しましょう。
翻訳会社選びのポイント
定款や会社法関連文書の翻訳実績があるか
定款には会社法特有の専門用語や言い回しが多く一般的なビジネス文書の翻訳とは勝手が異なるため、実績のない翻訳会社に依頼すると用語の選び方や体裁の再現に不慣れなまま作業が進み、誤訳や訳語のブレに気づけないまま納品されてしまうリスクがあります。
定款や会社法関連文書の翻訳実績がある翻訳会社であれば、過去のノウハウをもとに正確な訳文を作成してくれます。
ネイティブチェックやクロスチェックの体制があるか
一人の担当者による翻訳では、不自然な言い回しや訳抜けを見逃してしまうリスクがあります。提出先の現地当局や金融機関に不自然な英語だと判断されると、照会や差し戻しにつながりかねません。
ネイティブによるチェックや複数人でのクロスチェック体制がある翻訳会社であれば、訳文の自然さと正確性の両方を担保してくれます。
翻訳証明書を発行できるか
前述したとおり、定款の英訳とあわせて翻訳証明書の提出を求められる場合があります。証明書のオプションがない会社や証明に対応していない個人の翻訳者に依頼してしまうと、提出書類を用意できない事態になりかねません。
証明書の発行の可否と、会社名・代表者名・社印付きなど正式な形式で対応してもらえるかを確認したうえで依頼しましょう。
公証・アポスティーユなど認証手続きまでサポートできるか
定款の提出先によっては、公証・アポスティーユ・領事認証まで必要になります。自分で公証役場や外務省とやり取りするのは手間がかかるうえ、手順を誤るとやり直しになることも。これらの手続きをサポートしてくれる翻訳会社であれば、認証まで含めてスムーズに進められるでしょう。
秘密保持契約(NDA)を結べるか
定款には資本金や株主構成、事業内容など会社の機密情報が含まれています。これらを外部に渡す以上、情報管理の体制がない相手に依頼するのは情報漏洩のリスクを抱え込むことと同じ。外部に翻訳を依頼する際に秘密保持契約(NDA)を締結できるかどうかは、欠かせない確認事項です。
弊社・ケースクエアは、ライセンス契約・代理店契約・M&A・合弁事業・株式譲渡・会社法関連文書など契約書や法務文書を得意とする翻訳会社です。定款の翻訳実績を持つ翻訳者も多数在籍しており、秘密保持契約の締結はもちろん翻訳証明書の発行にも対応しております。
法務関連の文書は1文字10~13円を目安としてご提供しており、AI翻訳を活用した1文字7円からのプランもご用意しています。依頼前に翻訳の質を確認できるトライアルもご利用いただけますので、以下ページの「無料お見積りフォーム」からお気軽にお問い合わせください。
