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外国人向けに就業規則を翻訳したい!記載すべき事項とは?

就業規則翻訳の重要性と翻訳時のポイント

就業規則とは?

就業規則とは、賃金・労働時間などの労働条件や職場内の規律などを定めた規則集です。
労働基準法によって常時10人以上の労働者を使用する事業場では就業規則の作成が義務付けられており、過半数組合または労働者の過半数代表者からの意見書を添付の上、所轄労働基準監督署への提出が必要です。さらに周知義務があり、常時作業場の見やすい場所に掲示・労働者への書面の交付などの措置が求められます。

就業規則の翻訳が求められる背景

外国人労働者の増加

厚生労働省によると、外国人雇用状況の届出制度に基づいた外国人労働者数は、2024年10月時点で230万2587人を記録。2007年に届出が義務化して以降、過去最多を更新しました。(※1)
外国人労働者の増加に伴い、厚生労働省は2007年に制定した「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」を一部改正。労働条件を提示する場合にはモデル就業規則(労働基準法に基づき作成した規則)を用いたり母語で説明したりするなど、外国人の方にも理解しやすい方法を取るよう求められています。(※2)
しかし、現状は労働条件だけでなく職務上のルールを明示する就業規則を外国人労働者の母語へ翻訳する義務はありません。外国人労働者が就業規則を理解しづらいケースは多く、日本固有の文化・習慣が原因で会社や他の従業員との間に軋轢が生じるリスクとなっています。
翻訳によって就業規則の内容が正しく理解できれば、業務における日本と母国の違いを認識しやすくなり、労使間のトラブル回避に期待できるでしょう。

「明文化された契約」で安心感を与えられる

就業規則の翻訳があると、外国人従業員は自分の労働条件や義務をはっきり確認できます。「どういう時に休暇を取得できるのか」「賃金はどのように計算されるのか」「どんな行為が懲戒処分の対象になるのか」といった重要事項が書面で明確化されることで、働く側に安心感が生まれます。
外国人従業員が自分の権利と義務をきちんと把握すれば、会社と従業員との間に行き違いが生まれにくくなるでしょう。就業規則の翻訳は、安心感を与える職場づくりのために必要なのです。

就業規則に関する事項

絶対的必要記載事項

絶対的必要記載事項とは、就業規則に必ず記載が求められる事項です。記載する項目は、主に以下の3つがあります。

  • 始業および終業時刻・休憩時間・休日・休暇、交代制の場合の就業時転換に関する事項
  • 賃金の決定・計算方法、賃金締切日と支払日、昇給に関する事項
  • 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

絶対的必要記載事項のいずれか1つでも不足している場合、労働基準法12条に基づき30万円以下の罰金が科せられます。

相対的必要記載事項

相対的必要記載事項は、会社で制度を設ける場合に必ず記載が求められる項目です。記載する内容には以下の8つがあります。

  • 退職手当に関する事項
  • 臨時の賃金・最低賃金額に関する事項
  • 労働者に負担を求める食費・作業用品に関する事項
  • 安全・衛生に関する事項
  • 職業訓練に関する事項
  • 災害補償・業務外の傷病扶助に関する事項
  • 表彰・制裁の種類に関する事項
  • その他全労働者に適用される事項

慣行として運用している制度がある場合も、相対的必要記載事項として明記しなければなりません。

任意的記載事項

任意的記載事項とは、法令上の必須事項ではないものの、社会通念や公序良俗を踏まえて会社が独自に設ける項目です。例えば、企業理念や就業規則の解釈、副業の取り扱いなどが該当します。
外国人従業員にとっては特に、「日本の一般的なビジネスマナー」や「社内で大切にされている文化的な慣習」について、触れられていると使用者と労働者のコミュニケーションがスムーズになるでしょう。
ただし、任意的記載事項を規則に書く場合は曖昧な表現だと理解されにくいため、明確に定義することが大切です。

就業規則を翻訳するポイント

外国人にとって分かりやすい文章になっているか

法律文書や社内規定はどうしても難解な表現や専門用語になりがちで、日本語で読んでも分かりにくいケースも少なくありません。例えば年次有給休暇・時間外労働・雇用契約期間などの労働法関係の用語は、日本の法体系を知らない外国人労働者にはより理解しづらい用語です。
翻訳の際は、外国人労働者が理解しやすいように「原文自体をできるだけ分かりやすい表現に修正し、それを正確に翻訳する」意識を持ち、シンプルな表現を選びましょう。

規則の内容が明確に記載されているか

就業規則の翻訳が不正確だと、外国人労働者が誤解して不利益を被る可能性があります。使用者とのトラブルに発展すれば、会社側にも大きな損害が生じるリスクがあるでしょう。
労働条件をはっきり示すためにも、契約書のように「○○の場合は××になる」という具体的な言い回しが求められます。「休日」「休暇」「残業代」「退職」などの直接賃金や労働時間に絡む項目には、明確な訳語を使うよう心がけましょう。

日本のカルチャーを外国人向けに説明されているか

日本では職務上当然の慣習が、海外では異なるというケースは少なくありません。誤解を回避するため、就業規則に記載された職務ルールを外国人向けに十分説明できる翻訳が必要です。
例えば日本の職場では報告・連絡・相談(いわゆるホウレンソウ)が重視される一方、海外では結果だけを伝える習慣の国もあります。その他、礼儀作法や上下関係など日本独自の企業文化が盛り込まれている場合には、外国人労働者にその背景や意味を理解してもらえるような注釈や補足説明が必要です。
日本のカルチャーがどのように就業規則に影響しているのか、母国との違いを分かりやすく説明する内容になっているかを意識しましょう。

伝わる就業規則の翻訳ならプロへ依頼

翻訳業者選びの3つのポイント

依頼したい分野の実績があるか

まずは、翻訳会社が依頼したい専門分野における実績を持つかどうかを確認しましょう。実績が乏しい場合、専門用語の解釈の間違い・文脈を無視した直訳など不明確な翻訳になる可能性があります。
例えば就業規則翻訳の場合、翻訳会社が人事労務に精通していなければ外国人労働者に正しい記載内容を伝えられない恐れがあり、作成した使用者と外国人労働者との間でトラブルが発生するリスクがあるでしょう。実績が豊富な業者であれば、法的ニュアンスを正しく表現したり専門用語を的確に訳したりするノウハウを持っている可能性が高く、伝わりやすい翻訳が期待できます。

依頼したい言語に対応しているか

英語だけでなく、中国語(簡体字・繁体字)・ベトナム語・韓国語・スペイン語など、従業員の国籍に合わせて複数の言語への翻訳が必要な場合もあります。対応できる言語は翻訳会社によって異なるため、依頼したい言語を取り扱っているかは必ず確認しましょう。将来的に他言語への追加翻訳が発生する可能性があるなら、幅広い言語対応が可能な会社を選んでおくとよいでしょう。

翻訳の質を保つためのチェック体制があるか

翻訳の誤りを見逃さないためには、複数の翻訳者やチェッカーが関与するなど二重三重のチェック体制が必要です。とりわけ就業規則など法的要素の強い文書では、誤訳によって大きな問題を招くおそれがあります。
チェック体制に「翻訳内容を必要に応じて自然な表現・文法に修正するネイティブチェック」が含まれているかも確認しましょう。原文の意味・情報を正確に伝えていても翻訳言語を母語とする外国人にとって自然な表現であるとは限らないため、違和感を与えてしまう可能性があります。また、ある国では問題ない表現でも別の国では不適切な表現とされるケースもあるため、翻訳対象国の文化に精通したプロによるネイティブチェックが大切なのです。

質の高い翻訳実績を持つ翻訳会社なら

就業規則の翻訳には、人事労務に関する高度な専門知識と海外文化への深い理解が欠かせません。
弊社ケースクエアは、外国人パートタイマー・雇用契約書(日英)や労働者派遣基本契約書(日英)など人事労務分野の翻訳で豊富な実績があります。また、英語圏を中心に翻訳者の半数ほどが海外在住のため、言語のニュアンスや使用する単語など時代の流れに沿った「生きた翻訳」が可能です。
無料相談・無料見積もりも随時受け付けているので、人事労務契約書の翻訳はぜひケースクエアへお問い合わせください。

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まとめ

就業規則は、常時10人以上の労働者を雇用する事業場では作成が義務付けられていますが、翻訳自体は法律上必須ではありません。しかし、日本語による就業規則の理解は外国人には難しく、トラブル回避のためにも翻訳をする価値はあります。
就業規則の翻訳で大切なのは、外国人労働者と認識の食い違いが生じないよう規則内容を明確に示し、職場の慣習を分かりやすく書くことです。自社での対応が難しいと感じて翻訳会社に依頼する際は、依頼したい分野の実績・対応言語・チェック体制の3点を見極めて、質の高い翻訳を実現しましょう。