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海外取引における契約書の注意点:失敗しないためのポイント

海外取引でよくある契約書トラブル

契約内容や条件のすれ違いによるトラブル

国内での取引とは異なり、海外取引では相手国の文化や法律、商慣習などを理解したうえで進める必要があります。海外取引で生じるトラブルの原因は、多くの場合、日本企業同士の契約と同じ考えで進めてしまうこと。口頭で合意しただけで契約書を作成しない、契約書に曖昧な表現を盛り込むなどの取引に関して不適切な点があれば、その問題を理由に支払いが滞る・納品されないなどのトラブルに発展しかねません。
契約書に記載されているか、契約書の内容を理解できているかを締結前に確認する必要があります。

支払いの遅延によるトラブル

取引相手の支払い能力だけでなく、契約書に不備があるために支払いが遅延するケースもあります。
例えば支払いのタイミングを納品時または検収後とするのか明確な記載がない場合、取引相手は納品時に支払う必要がないと主張する可能性があります。ほかにも、検収後に支払うと決めていたとしても検収の基準や期限を定めていない場合、取引相手が検収を遅らせたり不当な理由で不合格と判断したりすることで支払いを先延ばしにするケースも。
このようなトラブルを防ぐためには、契約書に支払いのタイミングや条件を明確に定めることが重要です。また、支払いの遅延が発生した場合は迅速に取引相手と交渉し、必要に応じて法的措置を講じることも必要でしょう。

海外企業との契約・取引においてトラブルが起きる3つの原因

言語の違い

契約書の翻訳は、海外企業との契約・取引において重要な作業です。契約書は法的な効力を持つ文書であり、翻訳者は内容を正確に理解しなければなりません。しかし、専門知識を持っていない翻訳者に契約書を翻訳させると以下のような問題が起こる可能性があります。

・翻訳や意訳
翻訳者が契約書の文言や用語に不慣れな場合、誤訳や意訳のリスクが高くなります。誤訳・意訳によって契約書の本来の意味やニュアンスが変わってしまうと、契約書の内容が無効になる可能性も。予期しない義務や責任を負うことがあるため、法律用語を正確に訳せる翻訳者へ依頼しましょう。

・不利益な条項に同意してしまう
翻訳者が契約書の法的な影響やリスクについて評価できないと、内容の理解が不十分なまま不利益な条項や不適切な条項に同意してしまう可能性もあります。契約上のトラブルや紛争が発生した際に、自社の権利や利益を守れなくなり、取引相手から損害賠償を請求されかねません。
法務翻訳は、翻訳の知識だけでなく国・地域の法制度の知識も必要です。トラブルを回避するためにも、契約書の翻訳は専門家や弁護士に依頼するのがおすすめ。翻訳された契約書は必ず確認して、内容や条項に疑問や不明点があれば取引相手と話し合うようにしましょう。

法律の違い

海外企業との契約・取引で生じる主なトラブルの要因は、国ごとの商慣習や法制度の違い。契約書の言語や書式、署名や捺印の方法、契約解除や損害賠償の条件などは国によって大きく異なり、契約に関する紛争が発生した場合、どこの国の法律を適用するか・どこの国の裁判所に管轄権があるかも重要な問題となります。これらの法律の違いにより、契約当事者間に認識のずれや不信感が生じてトラブルに発展する可能性があるのです。

確認・コミュニケーション不足

海外企業との取引では、言語や法律だけでなく商習慣も異なります。例えば、納期や支払い条件、品質基準などについて国内企業と同じように考えていると、海外企業との間に認識の食い違いを生じさせる可能性も。海外企業と取引する際は、契約書で締結してトラブルを未然に防ぎましょう。
文化的な違いもコミュニケーションに影響するため、事前に取引相手である海外企業の国の歴史や文化・習慣を調べて明確かつ丁寧にコミュニケーションをとるようにしましょう。

海外取引における契約書作成時の注意点

海外では契約が重視されることを知っておく

日本企業同士の取引では同じ商慣習を持っているため契約を締結せずに口頭のやり取りだけでもトラブルなく進められます。万が一トラブルになっても日本の法律が適用されるため、紛争解決はスムーズに進められるでしょう。
対して海外企業との取引は、契約書で締結された内容が全て。そのため、契約書には管轄や準拠法、取引の対価、特殊な契約条項などを一般的な国際取引契約書のフォーマットに沿いつつ網羅する必要があります。
海外企業と口頭だけで契約を進めた結果、支払い方法・納品時期・法的な問題などの認識に相違が生じてしまうと大きなトラブルに繋がりかねません。最悪の場合、連絡が取れない・代金が回収できないといった詐欺被害に遭う可能性も。海外企業との取引では口約束や暗黙の了解といった日本の文化は通用しないため、必ず契約を締結する必要があると理解しておきましょう。

事前にトラブルを想定する

海外企業との取引では、文化や商慣習、法制度の違いから予想外のトラブルに繋がる可能性が高くなりますが、契約書はそうしたトラブル時の備えになるもの。万が一の場面で効力を発揮できるよう、必要な要項を締結しておきましょう。
例えば納期や品質、支払い条件などの基本的な事項について、相手国の商習慣や法制度によっては日本と解釈が異なる場合があります。紛争へ発展した場合に備え、契約書には「どの国の法律を適用するか」「どの裁判所に管轄権があるか」などの紛争解決方法について明記しておかなければなりません。事前に締結していない場合、日本にとって不利な法律に従わなければいけない可能性もあります。

提示された契約書をそのまま受け入れない

海外取引の契約書は自社の利益を守り、相手企業との長期的な関係を築く基礎となります。信頼関係を明確にする重要な文書ですが、自社に不利な内容が含まれている可能性も。締結前に契約書の内容の精査をし、言語や法域・事業目的・責任や義務・費用や支払い条件・契約期間や解除条件・紛争解決方法などが明確に記載されていることを確認して、必要に応じて相手企業と交渉するようにしましょう。
交渉は双方にとって公平であることが求められるため、過程や結果は文書で残すことが必要です。

海外取引に詳しい専門家に相談する

国際契約書を翻訳するには、単にビジネス英語に慣れているだけでは不十分。各国の法制度や商慣習を理解したうえで、認識の齟齬が生まれないように翻訳できるだけの知識が求められます。海外取引の契約書を作成・締結する場合は、国際契約書に精通した翻訳者や弁護士へ相談しましょう。専門家と協力して契約書を作成することで、海外取引のリスクを抑えながらスムーズな取引を実現できます。
これまでの翻訳実績やISO20771・ISO18587などの国際規格を取得しているかを確認して、信頼できる専門家を選ぶのがおすすめです。

海外企業との契約締結時に取り決めるべき事項

契約書の言語について

複数の国の間で取引する場合、契約内容の解釈や適用に関して相違を防ぎやすくなるため、契約書の言語は可能な限り一つに統一されていることが望ましいでしょう。
また、契約書において正式な言語は一つである旨を明記することも重要です。他の言語で作成された契約書は参考資料であることを示して、正式な言語で作成された契約書に従うことを確約できます。

基準とする国の法律

海外企業との取引でトラブルが発生した際は、どちらの国の法律で解決するかが問題となります。
法的な問題を避けるためには、契約書に基準とする国の法律の記載が必要。基準とする国の法律によっては契約内容や効力に影響を与える規定が存在することもありますので、契約書を作成する前に基準とする国の法律に詳しい専門家へ意見を求めるようにしましょう。

契約の内容や条件

海外企業との契約締結時には、契約の内容や条件を明確にすることが重要です。
契約書で定めるべき内容は多岐にわたりますが、特に注意が必要なのは、事故が発生した際や支払いが滞った際などに効力を発揮する項目。例えば決済方法については、支払い期限や通貨、手数料などを含めて具体的に記載する必要があります。クレーム条項では、品質や数量などの不備があった場合の対応方法や責任範囲を定めておきましょう。保険・免責条項では、契約の履行に関するリスクを分担する旨を記載することで損害の発生や拡大を避けられます。
これらの項目は、海外企業との契約締結時には必ず取り決めるべき事項です。専門家の助言を受けながら作成・締結するのが良いでしょう。

海外企業との契約・取引におけるトラブルに発展した際の解決方法

訴訟

海外企業を訴訟する場合、海外の裁判所へ出向くための交通費や宿泊費、現地で弁護士を雇用する人件費といったさまざまなコストがかかります。国によっても差はありますが、裁判所の手続きは時間がかかるもの。結果が出るまで長期間にわたってトラブルが続く可能性もあります。
また、日本国内で訴訟・勝訴したとしても、海外企業が判決に従わない場合もあります。その場合は別の国の裁判所に執行を求める必要がありますが、余計に費用や時間がかかるうえに執行ができない可能性も。
訴訟するのはあくまでも最終手段として、和解・国際仲裁で解決する道を探すのが良いでしょう。

国際仲裁

海外企業との契約・取引でトラブルが生じた際に、当事者の合意に基づいて第三者である仲裁人が判断して紛争を解決する方法を「国際仲裁」と言います。
国際仲裁の利点は、第三者を自由に選べるため中立性を保ちやすいこと。また、裁判に比べて手続きが簡単なため、短期間で問題を解決できるのも特徴です。

和解

取引の中で問題が生じた場合、話し合いによって解決を目指すのが「和解」。和解を行う場合も弁護士を間に挟むと妥協点を見つけやすく、スムーズに解決できます。
和解が成立した際は、紛争が解決した証明として「和解証明書」を作成するのが良いでしょう。