登記簿謄本の翻訳で失敗しないための完全ガイド

登記簿謄本の翻訳前に押さえたい基礎知識
登記簿謄本とは?
登記簿謄本は、会社法や不動産登記法に基づき法務局が管理する公的な記録文書です。会社の商号(名称)・本店所在地・設立年月日・役員氏名など、会社に関する重要な情報が記載されています。
国や自治体への申請や新しい取引の開始時、金融機関からの融資など、会社の状況を審査の際に提出が必要です。正当な理由があれば誰でも閲覧可能で、手数料はかかりますが法務局の窓口・郵送・オンラインで取得できます。
登記簿謄本の翻訳が求められる主なシーン
海外での手続きでは、日本語の登記簿謄本だけでは通用しません。現地語への翻訳が不可欠で、主に次のような場面で提出を求められます。
- 海外支店・子会社の設立…日本の親会社が実在し、事業活動を行っていることを証明するため
- 海外の銀行口座開設…マネーロンダリング対策やテロ資金供与防止の観点から、金融機関が法人の実在を確認するため
- 海外企業との契約・取引…国際取引開始時の信用調査や与信管理の際、相手方に登記情報を開示して信頼性を示すため
- 国際的な訴訟・法的手続き…国外の裁判所・監督官庁・公的機関への証拠書類や申請書類として、正確な翻訳が添付されたものを求められる
- 外国人投資家・出資者への説明・開示…海外の投資家や出資者から法人情報の開示を求められた際に、公的に正しい書類として翻訳版を提示するため
登記簿謄本の主な項目の英語表記と解説
以下は主要な項目の英語表記とその概要です。
Corporate Registration Number
法務局が会社に付与する法人番号。会社を一意に特定するための番号で、行政手続きや契約に用いられます。
Corporate Name
企業名(商号)の正式名称。使用できる文字や記号は法律で定められており、株式会社なら「〇〇 Co., Ltd.」、合同会社なら「〇〇 LLC」など形態に応じて訳します。
Head Office
本店(本社)の所在地住所。住所の記載は国際的に通用するフォーマットに合わせる必要があります。
Method of Public Notification
法定公告の方法。官報・新聞・電子公告など、会社が重要事項を周知する方法を示します。
Date of Incorporation
設立年月日。法人として活動を開始した正式な日付を記載する必要があり、経営歴や信用調査などの評価指標になります。
Business purposes
会社の事業目的。会社の活動範囲を示します。
Total Number of Authorized Shares
会社が発行できる株式の総数。会社法に基づいて定められ、将来の資金調達計画を把握するうえで重要とされます。
Total Number and Class of Issued Share
実際に発行された株式の種類と総数。普通株式や優先株式など種類別に記載されます。
Amount of Capital
資本金額。設立時や増資時の合計資本金で、会社規模や対外的信用の目安となります。
Provision regarding restriction on share transfer
株式譲渡制限の規定。譲渡の際に取締役会の承認が必要かどうかなどを定めます。
Items regarding directors
役員に関する事項(氏名・住所・代表取締役の有無など)。会社のガバナンスや意思決定の体制の透明性確保につながります。
Items related to registration records
登記事項に関する記録。変更履歴や抹消の記録などが含まれ、会社の経歴を把握する資料になります。
AI・自力での翻訳は危険?
費用や納期の都合から無料の翻訳ツールやAIを利用しようと考える方もいますが、登記簿謄本の翻訳には大きなリスクが伴います。法務や登記の分野には専門用語や独特のニュアンスが多く、現状のツールでは文脈や法律的な意味を正確に理解できず、誤訳や訳語の不一致が起こりやすくなるためです。
例えば「本店」を英訳する際は翻訳の目的と文脈によって適切な英訳を選択する必要があり、日本の法令翻訳では公式に「head office」が標準対訳とされています。ところが国際契約書などでは実際の事業活動の場所と登記上の住所を区別するため、「Principal place of business」や「Registered office address」を使い分ける場合があるのです。
また、公的機関・金融機関・裁判所などへの提出は、多くの国で翻訳証明や認証翻訳を求められます。AIや自力で翻訳したものは、法的効力が認められないケースも。無料ツールやAIでは入力された内容が学習データとして使用される可能性もあるため、登記簿謄本に記載された機密情報が外部に流出するリスクも否めません。
このようなリスクを避けるため、実務上AIや自動翻訳で作成した文章は最終的に専門家による修正や再翻訳が必要となり、当初想定していた以上の費用や時間がかかってしまう事態も起こりえます。リスクや負担を増大させないためにも、最初から実績豊富な専門翻訳サービスに依頼するのが効率的で安全性が高いと言えるでしょう。
高品質な登記簿謄本翻訳を実現するポイント
登記簿謄本を翻訳する際に注意するべきこと
専門用語の正確な翻訳
登記簿謄本は法的効力を持つ文書のため、翻訳時には高い正確性が求められます。専門用語やビジネス用語を誤訳すると、契約や取引の内容・有効性に大きな影響を与える可能性があるためです。
例えば株式譲渡制限の規定や資本金などの項目で内容に誤解が生じると、国際的な法的トラブルにつながりかねません。特に日本特有の制度や記載項目は直訳では意味が通じないケースがあるため、提出先の国や地域の法律・商習慣を踏まえて適切な表現に置き換える必要があります。
専門用語を正確に翻訳できれば海外でもスムーズに書類が受理され、翻訳証明や公証などの認証取得も容易になるでしょう。
固有名詞(会社名・役員名など)表記の統一性
固有名詞は特定の法人や個人を識別するうえで重要な情報のため、翻訳文書全体で表記が統一されていないと登記文書としての信頼性が損なわれます。
会社名や役員名の表記が部分ごとに異なると、金融機関や海外の取引先に混乱や誤解を与えかねません。場合によっては「別の会社ではないか」「内容に不備があるのでは」と疑われ、確認作業に大幅な時間と労力を要する恐れもあるでしょう。
また、英語の会社名には正式な表記やブランド名がある場合も多く、登記情報・名刺・過去の契約書類などで一度使われた形に合わせることが大切です。既存の英語表記が定着している場合は、翻訳時にその表記を使用すると国外の関係者との意思疎通がスムーズになります。
適切なフォーマット・書式の使用
翻訳された登記簿謄本は、原文のフォーマットや書式にできる限り忠実である必要があります。書式が不適切だと、官公庁や公証役場で公式文書として認められない恐れがあるためです。
例えば日本の登記簿謄本では「令和○年○月○日」と和暦で表記されていますが、海外に提出する場合は必ず西暦に直す必要があります。変換ミスが起きれば設立日や登記日が異なると誤認され、契約や審査が進まないリスクが高まるでしょう。
フォーマットや書式は単なる装飾ではなく、公的承認を左右する要素の一つ。もしも翻訳会社への依頼を検討している場合には、元の登記簿謄本と見比べながら内容を検証できるよう、原文と翻訳文を対比できる形式で納品してもらうとよいでしょう。
信頼できる翻訳会社を選ぶためのチェックリスト
法務分野の翻訳実績があるか
翻訳会社の実績ページを確認し、登記簿謄本や契約書など法務関連の文書を多く手掛けているかをチェックしましょう。法務翻訳の経験が少ない会社に依頼すると、一般的な翻訳はできても専門的な知識が不足して誤訳のリスクが高まるためです。
法務分野の実績を持つ会社であれば法律や専門用語への理解が深く、これまでの経験・ノウハウにより質の高い翻訳が期待できます。提出先の国や機関が求める認定手続きにも精通している可能性も高まりますので、ウェブサイトで実績があるかを確認しましょう。
料金が明確で適正な料金か
翻訳の費用は文字単価・ページ単価・基本料金など、翻訳会社によって料金体系が異なります。ウェブサイトに料金が明記されているか、見積もりの内訳が明確かどうかは依頼前に確認しておきたいポイントです。
安すぎる料金は品質の低下やチェック体制の不十分さにつながる可能性があり、逆に高額だからといって必ずしも高品質が保証されるわけではありません。複数社から見積もりを取り、適正な価格でサービスを提供しているか比較検討したうえで依頼するようにしましょう。
納期・対応スピードに満足できるか
海外での手続きはたいてい書類の提出期限が設けられており、希望の納期に対して翻訳会社のスピーディな対応が可能かどうかも判断基準の一つです。対応が遅れると手続き全体に影響が及び、契約締結のチャンスを逃してしまうリスクも発生します。
一方で、スピードだけを重視しすぎると品質が犠牲になる可能性もあるため、早さに加えて専門性や品質管理が両立しているかの見極めが大切です。
納期の目安や緊急対応の有無、過去の納品事例などがウェブサイトに公開されているかも確認したうえで判断しましょう。
法務知識を持つ翻訳者が在籍しているか
登記簿謄本には、日本の商法や登記法に特有の概念が多く含まれています。提出国の法律や商習慣に照らして正しく翻訳するためには、語学力だけでなく法律や登記に関する専門知識を持つ翻訳者が欠かせません。
過去の実績だけでなく、最新の法制度や商習慣に対応できる知識を持つ翻訳者が在籍しているかを確認しましょう。法改正や国際ルールの変更にすぐ対応できる人材がいれば、翻訳の正確性や実用性はさらに高まります。安心して翻訳を任せるためにも「法務分野に精通した専門人材が社内にいるか」「どのようなチェック体制が整っているか」を事前に確認しておきましょう。
対応が丁寧か
見積もり依頼や問い合わせの段階でこちらの要望を正確にヒアリングし、丁寧に対応してくれるかどうかも信頼できる会社を見極めるための指標となります。疑問に対して形式的な回答だけでなく具体的に答え、こちらの事情を考慮した柔軟な対応があるかどうかが信頼性を見極めるポイントです。
例えば、こちらが「英訳だけでよい」と思っていても、提出先によっては「翻訳証明書」が必要な場合があります。信頼できる会社であればその点について指摘し、適した形で納品できるよう提案してくれるでしょう。
質の高い登記簿謄本翻訳をリーズナブルに行うなら
登記簿謄本の翻訳は高い専門性が求められるため、費用も高額になりがちです。「費用は抑えたいが品質も妥協したくない」という方は、ぜひ弊社ケースクエアの翻訳サービスをご検討ください。
弊社では法務・契約書分野で豊富な実績を持つ専門翻訳者が担当し、複雑な法律用語も正確かつ読みやすく仕上げます。
料金面でも安心していただけるよう、1文字あたり8円からというリーズナブルな価格を設定。大口案件や定期的な依頼向けには割引プランも用意しています。
また、納期遵守や迅速なレスポンス、丁寧な顧客対応も当社の特長です。納期や内容に関する細かい相談にも柔軟に応じており、安心してご依頼いただけます。
翻訳前の無料トライアルも提供しており、事前に品質をご確認いただけますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
まとめ
登記簿謄本は海外での行政手続きなどの場面で提出が必要なケースがあり、正確性と専門性が強く求められます。AIや無料ツールでの翻訳も可能ですが、誤訳や機密情報漏えいのリスクが高く、かえって手間やコストの増加につながりかねません。
専門用語の正確な訳出・固有名詞の統一・適切な書式維持などを徹底するには、法務分野に精通した翻訳会社への依頼がおすすめです。事前のチェックポイントを踏まえて信頼できる翻訳会社を選び、国際的なビジネスの成功へとつなげていきましょう。