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英文契約書に公証人の証明は必要?日本と外国の制度の違いは?

英文契約において公証人はどんな役割を担っているの?

日本の公証人制度はどのようなもの?

契約文書が本人の意思により作成されたものであると公証人が証明する仕組みが「公証人制度」です。公証人は裁判官・検察官・弁護士といった法律に関する実務経験を持つ人の中から選ばれ、法務大臣によって任命されます。国家公務員法上では公務員として定められていませんが、公務を行う実質的な公務員です。
公証人制度は公的な立場から文書が本物であると証明するため、強制執行が行える・遺言による登記申請が認められるといった強い効力を持ちます。そのため日本では、賃貸借契約書や金銭貸付証書で債務者(賃借人や金銭の借主)に債務不履行が生じた場合に裁判を起こすことなく強制執行するために利用されています。

英文契約において公証人は必要?

海外で会社を設立したり、海外の取引先と重要な契約を締結したりすると公証を求められるケースがあり、その場合は公証人による認証が必要です。国際的な商取引においては契約書自体を公正証書にする頻度は少ないのですが、日本の公証と外国で求められる公証は異なるため注意しましょう。
例えば、日本での商取引における契約書は公正証書を作成するため、その公正証書には強制執行力を有しています。しかし、公証人が作成した文書(公正証書)が直ちに相手国において強制執行可能とは限りません。公証人が認めた文書・契約書が相手国でどのような効力が発揮できるのか、事前に調べておきましょう。

英文契約書を公正証書にする手順

公正証書の作成を依頼する場合は、まず公証人が契約内容を確認できるように英文契約書に訳文・契約内容の概要をまとめた文書を用意します。この文書の作成は行政書士やその他の第三者に依頼可能ですが、合意内容について認識をすり合わせておきましょう。
次に、当事者本人または代理人が身分確認証・印鑑証明を公証役場(公証人が執務する事務所)に持参し、手続きをすることで公正証書を作成できます。代理人が手続きを行う場合には、当事者本人の押印と本人作成の委任状が必要となるため注意しましょう。

諸外国の公証人制度の違いとは?

同じ公証人制度という表現であっても、日本と他の国では公証人が持つ役割や責任を持つ範囲が違います。
例えばアメリカでは、ノータリー・パブリック(Notary Public)という資格を持つ人が日本における公証人です。日本の公証人と同様に契約書の署名が本人のものだと証明可能ですが、文書の内容が法的に問題ないか確認したうえで公証される日本の公証人制度に対して、内容確認はせずに署名した本人が作成したものであれば公証してくれます。
また、ノータリー・パブリックは銀行の窓口やスーパーのレジ係の人が保有している場合もあり、日本では特定の場所でないと公証手続きができませんが、アメリカでは銀行の窓口・法律事務所といった場所で手軽に手続きが可能です。
公証にかかる費用に関しても違いがあり、日本の場合は目的価額(公正証書記載の法律行為によって得られる利益)によって数千円から数十万円程度が発生します。しかし、アメリカの場合は数ドル程度の支払いであったり、ノータリーが在籍する銀行の口座であれば手数料が無料となるケースもあります。

英文契約の公証人に関連するQ&A

公証を依頼された場合はどうするべき?

海外の取引先から英文契約書の公証を依頼された場合、日本の公証役場で対応が可能です。その際、公証人が文書内容の有効性を証明するため、英文契約に訳文を付けて公証人を納得させる必要があります。
しかし、公証制度の内容や目的は国によって異なるため、取引先と認識違いがあったまま公正証書の発行手続きを進めると手続きのやり直しが発生してしまいます。事前に取引先と公証の内容についてすり合わせておきましょう。また、短納期で公証が終わると考えている外国の取引先もいるため、公証に時間が掛かる旨を事前に説明してトラブルを防ぐのが得策です。

登記事項や個人の戸籍事項などの証明書を求められた場合はどうするべき?

公文書は発行機関によって既に認証されているため、登記事項証明書や戸籍事項証明書の提出を求められた場合、日本の公文書には公証人による認証は適用できません。日本の官公署や自治体が発行する文書に対しては、外務省で公印確認をしたりアポスティーユ認証(日本の公的機関で認証された文書である認証)を取得したりすることは可能です。
また、公文書であっても翻訳者が外国語に翻訳し「自分は語学に堪能で、添付の公文書の内容を正確に翻訳した」という宣言書を作成した場合、公文書ではなく私人が作成した私文書として宣言書を認証することが可能です。
外務省による認証・宣言書に対する認証を行えば、外国の機関の要求にも応えられるでしょう。