生成AI『Gemini』で翻訳はできる?メリット・デメリットを紹介

まず押さえたい生成AI「Gemini」の基本
Geminiとは?
Geminiは「Google DeepMind社」が開発した新世代のAIで、市場ではOpenAI社のChatGPTの有力な競合として注目を集めています。
文章作成にとどまらず、画像・音声・動画なども処理できる「マルチモーダルAI」として設計されている点が大きな特徴。一般的な質問応答はもちろん、クリエイティブコンテンツの自動作成や要約、コード生成などの多岐にわたるタスクをこなせます。
Geminiで翻訳は可能?
結論として、Geminiを使った翻訳は可能です。テキストデータはもちろんのこと、画像に含まれる文字情報や音声データ、さらに動画内の字幕・ナレーションといった映像メディアから抽出した情報も翻訳対象として扱えます。
しかし、Geminiは汎用的な機能を持つAIではあるものの「万能なAI」ではありません。メリット・デメリットがあるため、翻訳結果をそのまま利用するのではなく用途や品質要件に合わせた使い分けが求められると理解しておきましょう。
Geminiで翻訳するメリット
無料で手軽に使える
Geminiの基本機能はGoogleアカウントさえあれば無料で使え、初期コストをかけずに翻訳の精度を試せるのが大きな魅力です。
チャットアプリのような感覚でテキストを貼り付けて翻訳できるため、操作に専門的な知識も不要。スマホアプリも提供されているため、移動中や出先でも気軽に作業できます。
手軽さと無料である点は、個人利用から小規模ビジネスまで幅広いユーザー層にとって導入のハードルを下げてくれる大きなメリットといえるでしょう。
翻訳スピードが早い
Geminiは短いテキストから長大な文章まで一貫して高速で翻訳することが可能。数千文字規模の文書であっても数秒から十数秒程度で結果が返ってくるため、人が翻訳するのと比べて圧倒的に早い作業スピードです。
リアルタイム性が求められる海外とのやり取りや時間との勝負になる情報収集の場面では、大量の文書や複数のファイルをすばやく処理できる性能は大きな武器になります。
100以上の言語に対応
英語や日本語はもちろん、ヨーロッパ圏やアジア圏の主要言語に加えてアフリカや中東のマイナー言語など100以上の翻訳が可能。Geminiだけで幅広くカバーできるため、言語ごとにツールを用意する必要がない点は大きなメリットです。
利用するサービス(ウェブアプリやGoogle Workspaceのアドオンなど)によって対応言語の数が変わるため、マイナーな言語を扱う際は事前に有無を確認しておくとよいでしょう。
ハルシネーションチェックができる
生成AIがもっともらしい嘘を生成する「ハルシネーション」という問題に対し、GeminiはGoogle検索と照合して回答を検証するチェック機能を備えています。AIの回答を鵜呑みにせず、その根拠となった情報源をユーザー自身で確認できる仕組みです。
翻訳結果が原文の意味を正確に反映しているか、不自然な箇所がないかを確認する手助けとなるため、より信頼性の高い翻訳ができるうえに誤情報の拡散なども防げます。
Google Workspace連携でファイル翻訳が楽
Googleドキュメントやスプレッドシート、スライドといったGoogle Workspaceのアプリケーションと連携し、ファイル単位で翻訳を実行できます。
翻訳後も元のレイアウトや書式を保ったまま出力できるため、社内資料や提案書の多言語版を作成する手間を大幅に削減。翻訳後に共有設定を変更するだけでそのままチーム内でレビュー・編集できる点も便利で、翻訳を含む業務フローの効率化にもつながります。
Geminiで翻訳するデメリット
専門性・正確性が必要な文章には向いていない
一般的な文章の翻訳なら十分な性能ですが、法律・医療・金融といった専門分野では残念ながら精度はまだ十分とは言えません。例えば、契約書では「shall」と「will」で義務の重さが変わるなどAIには判断が難しい法的な文脈や言葉の重みがあるため、誤訳のリスクが伴います。
専門文書の翻訳をAIにのみ任せるのは、現時点では危険だと言えるでしょう。
感情・ニュアンスの表現が苦手
生成AIは文法的・意味的に自然な文章を生成する一方で、微妙な感情表現や文化的ニュアンスの再現が苦手です。
例えば「遠回しな言い方」や「敬意や丁寧さの度合い」など、日本語独特のニュアンスが必要な場面では原文のトーンや文体が失われやすく、読者はどこか「硬い」「無機質」な印象を受ける機械的な直訳になる傾向があります。
マーケティングコピーやキャッチコピー、文学作品の一部など「読者の感情に訴える」表現が必要なケースでは、意図した通りの意味が伝わらなかったり相手に不快感を与えたりするリスクもあるのです。
情報漏えい・セキュリティリスクがある
AIツール全般に共通する懸念点として、セキュリティの問題は避けて通れません。入力した情報が学習データとして保存・再利用される可能性を否定できないためです。Geminiに個人情報や社内資料を含む文書を入力する際は、その情報が外部に漏洩するリスクを十分に認識したうえで利用しましょう。
Geminiの場合は、個人向けと法人向けのプランで情報の取り扱い方が異なります。
個人向けでは初期設定のまま利用すると入力した情報が自動的に学習に使用されてしまうため、情報を学習に使わないよう設定する必要がある点に注意が必要です。
一方、法人向けプランではデータが学習に使用されない設定になっているため、個人向けに比べて情報漏えいのリスクは低く抑えられています。業務で個人情報や機密情報を扱う場合は、法人向けプランを利用するほうがよいでしょう。
最終チェックは必ず人間が行う必要がある
AI翻訳は便利ですが自動生成の特性上、必ずしも完璧ではありません。最終的にはネイティブスピーカーや専門の翻訳者によるレビューを行い、誤りがないかの確認が必要です。特に公的文書・取引先向けの正式文書・商品マニュアルなどで誤訳や不自然な表現が残ると、内容の誤解を招いたり信頼性を損なったりするリスクがあります。
AIはあくまで下書きを作成するアシスタントと割り切り、最終的な品質の責任は人間が負うという意識のもと利用するようにしましょう。
https://www.idanet.co.jp/blog/machine-translation-on-multilingual-sites/
https://media.buzzconne.jp/gemini-googleworkspace/
https://shift-ai.co.jp/blog/16913/
https://support.google.com/gemini/community-guide/311313819/%E3%83%8F%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%81%A8%E3%81%AF?hl=ja
https://note.com/taiga_web3/n/nc62c403f2382
https://www.yoshidumi.co.jp/collaboration-lab/gemini-for-google-workspace
https://tenshoku.mynavi.jp/engineer/guide/articles/ZlWOExIAACgAPGCp
https://www.yoshidumi.co.jp/collaboration-lab/google-gemini
https://osaka-yotsuba.com/column/ai/
https://subsc-love.com/what-is-gemini-advanced-translation/
https://cloud.google.com/translate/docs/languages?hl=ja#neural_machine_translation_model
Gemini翻訳で失敗しないために
こんな文書のGemini翻訳は危険
Geminiの翻訳は手軽で便利ですが、どんな文章にも使えるわけではありません。翻訳の「精度」と「専門性」が要求され、誤訳が大きなリスクを招く以下のような文書・分野での使用は危険です。
- 法律・契約書…契約書や合意書、秘密保持契約(NDA)など、法的効力を持つ文書は誤訳によって契約無効や訴訟リスクが高まるだけでなく、機密情報をAIに入力する行為自体が契約違反に該当するおそれがあります。
- 医療・医薬文書…診療ガイドライン・処方指示・臨床試験プロトコルなどは誤訳が患者の生命や健康に直接影響し、医療事故や法的問題につながる可能性があります。
- 特許・知財文書…特許明細書・請求項・技術仕様書などは、権利範囲の誤表現により特許権が無効化されたり知的財産権を失ったりするなどの損害を招くおそれがあります。
- マーケティング・ブランド文書…広告コピー・キャンペーン資料・Webサイトのローカライズなどでターゲット市場の文化や慣習を無視した翻訳をすれば、ブランドイメージの低下や消費者の反発を引き起こす可能性があります。
これらは専門知識とネイティブレベルの表現力が要求されるため、Geminiのみで翻訳を完結させるのはリスクが高いと言えるでしょう。
Gemini翻訳と併せて検討したいプロの翻訳会社とは
現状、誤訳が致命的な損害につながる文書をAIだけに任せるのは危険なため、人によるチェックが不可欠です。セルフチェックによる対応も可能ですが、専門的な知識・語彙力に長けていなければ難しいもの。専門分野に精通し、ネイティブチェックを徹底する翻訳会社に依頼するのが安心といえます。
弊社ケースクエアは、技術・法律・医療といった誤訳が許されない分野で多くの実績を持ち、専門性とネイティブチェックの両立によって高品質を担保。短納期のご依頼にも柔軟に対応しています。
多くの企業や官公庁からの依頼実績もあるため、AI翻訳ではリスクが高い文書を検討中の方はぜひ一度ご相談ください。
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https://marketing.techport.co.jp/archives/22470/
https://www.1st-translation.biz/blog/kikai-honyaku/
https://md.reserva.be/dx-knowledge/ai-translation/
https://mediphone.jp/mediphoneblog/machine-translation-and-medical-interpreting/
https://www.trans-ntc.com/oyakudachi/trans/trans-41/
https://miraitranslate.com/blog/20240624_01/
まとめ
GoogleのGeminiは、日常的な情報収集や重要度の低い文書の翻訳といった場面では手軽さ・スピーディさで大きな力を発揮するでしょう。
一方、専門性の高い文書や感情・文化的ニュアンスが問われる文章では精度や表現力の面で限界があるため注意が必要です。情報漏えいや誤訳リスクへの配慮も欠かせません。
特に法律・医療・特許関連などの重要文書においては、AI翻訳に全面的に依存するのではなく、安全性が高い人間によるチェックや専門性の高い翻訳会社への依頼をおすすめします。
Geminiは使いどころを見極めることで真価を発揮するツールです。翻訳の目的や重要性に応じた翻訳サービスとの使い分けが、品質と効率を両立する鍵となるでしょう。