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英文契約書の電子署名を導入する注意点を解説

英文契約書における電子署名の法的有効性は?

国内外問わず電子契約書にも法的有効性はあり、日本よりも海外のほうが普及しています。
ただし、どの国とでも電子契約書を交わせるわけではなく、日本と相手の国それぞれの電子契約に関する法律の要件を満たしている必要があります。
法律が整備されていなければ電子署名はできないため、海外の普及状況を把握したうえで契約方法を検討しましょう。

海外の電子署名の普及状況は?

・アメリカ
アメリカでは1999年にUETA、2000年にESIGN法という電子契約に関する法律が制定されています。
UETAは州法のため一部州のみの対応ですが、ESIGN法はアメリカの連邦政府により制定された法律のため、アメリカ全域で電子署名が有効です。

電子契約にまつわる判例も多く、2021年に行われた調査結果では82.5%の方が過去1年に1回以上電子署名を利用しており、電子契約が広く普及していることが伺えます。
ただし、連邦政府により制定された法律であっても州によっては適応していないこともあるため、相手方の州では法律の要件を満たしているのかを必ず確認しましょう。

・アジア
2000年代初頭に中国・韓国・シンガポール・フィリピン・タイなどの国で電子署名に関する法律が整備され始め、数多くの国で普及が進んでいます。
特に中国では電子契約にまつわる法律の改正が進んでおり、2015年には法的な効力を持つものとして認められました。
とはいえ、日本のように印鑑・ハンコを使う文化のある地域では法整備に使用状況が伴っていないところも存在しているため、事前の調査は怠らないようにしましょう。
Adobeが2021年に行った世界各地域の個人へ対するインターネット調査「電子署名の利用に関する意識調査」によると、日本以外のアジア(APAC)では、パンデミック後も電子契約を使い続けると回答した人が83.9%。アジアではより電子契約を取り入れたいと思っている人が多く、今後各国の普及率の高まりが期待されます。

・ヨーロッパ
EU加盟国には、EU域内の電子取引が可能なeIDAS規則が適用されています。
ドイツの企業を対象とした2020年の調査では、社外へ提出する書類等への押印・サインがすべて電子化されている企業が14.1%、8割程度が電子化されている企業が25.3%という結果に。8割以上の書類を電子化している企業が約40%を占める結果となりました。社外へ提出する書類等への押印・サインが5割以上電子化されている企業まで含めると、約80%にも上ります。
また、イギリスでは電子署名された書類が法的にほとんど有効です。
電子政府政策が進んでいるエストニアでは契約だけでなくほぼすべての行政手続きが電子申請できます。
EU外の国との取引の際は個別に準拠法を確認し、電子契約が可能か探る必要があるでしょう。

※参照:Adobe「アドビ、電子サイン使用に関するグローバル調査を実施」

英文契約書に電子署名を導入する上での注意点

国によって電子契約に関する法律の違いがある

世界各国で電子契約・電子署名が普及してきたといっても国によって準拠する法律は異なり、日本であれば電子署名法や電子帳簿保存法に従う必要があります。
また、相手国の法律にも従う必要があるため、準拠法の理解は必須です。
アメリカ企業との取引の場合はESIGN法、EU加盟国企業の場合はeIDAS規則、香港の企業だと電子交易条例に従います。
電子契約の理解を深めるだけでなく事前に判例を把握しておくと、決めるべき内容のヒントになるため後のトラブルを防げるでしょう。

相手国の文化・商習慣を理解する

日本国内でも地域差があるように、国が違えば文化・常識・商習慣も異なります。
契約上の無用なトラブルを減らし、ビジネス上のコミュニケーションを円滑にするためにも相手国の文化の理解に努めましょう。
例えば、日本国内の企業同士の契約であれば、ほとんどの場合「協議してトラブルを解決していく」といった文言が入っています。
一方、欧米企業を中心とした海外企業ではトラブルがあった場合に「どちらが責任を負うのか」を詳しく記載することが一般的。
事前の明文化によって後々のトラブルを抑える考え方なのです。
どちらの様式に揃えていくのか、取引先との話し合いをスムーズに行うため、相手に敬意を表してお互いの国・文化・慣習・商習慣などを理解することが大切です。

取引先の理解を得る必要がある

自社だけでなく取引先も含めて「電子契約のやり方を理解しているか」「電子契約で進めても問題ないのか」を確認する必要があります。
取引先が自社と同じ電子契約システムを利用しているとは限りません。
電子契約で進めていいのか、その場合システムについて理解を得られるかは契約を進めるうえで大事なポイントです。
また、電子契約システムによっては使える言語が限られている場合があるため、取引先企業が多国籍に渡る場合は英語を中心に海外取引をする多くの企業が理解できる言語に対応しているサービスを選ぶようにしましょう。

英文契約書を電子契約で締結するメリット

コスト削減に繋がる

電子契約を用いるメリットのひとつにコスト削減が挙げられます。
契約書を作成する際にはインク・用紙を含む印刷代が必ず掛かります。
また、海外への契約書の郵送費用も考慮しなければいけません。
例えば、アメリカにEMS(国際スピード郵便)で送る場合、掛かる費用は最低重量の500gまででも3,900円です。
これが一通だけであればまだしも、多くの企業と海外と取引をすれば費用は膨れ上がります。
また、郵送物の準備や郵便局への持ち込み等には人件費も必要。契約内容によっては印紙代も掛かります。
電子契約で英文契約書を締結すれば、印刷代・郵送代・それに伴う人件費・印紙代の削減が可能です。

電子データのために管理がしやすい

契約書を電子データとして扱うメリットのひとつが、管理を効率化できること。
契約書のファイル名を統一して指定された場所に保存すれば検索性が上がり、本社や支社など場所の制約を受けずに一元管理が可能です。
外出先でもノートパソコン・タブレット・スマートフォンを使って契約内容を確認できます。

一方で、紙の契約書は印刷や製本、ファイリングなどの手間が掛かります。
企業によっては、本社で原本を管理して支社でコピーを管理するなど管理体制が複雑になることも。
紙の契約書はこのような複数のステップを踏むため、紛失するリスクも高まります。
電子契約であれば管理の手間を削減するだけでなく、紛失の危険性にも対応できるのです。

契約締結までの時間短縮に繋がる

契約締結までの時間短縮を図れることも、電子契約の大きなメリットです。
英文契約書を海外の企業へ送る場合、アメリカ・ニューヨークへは早くとも到着までに3日ほど時間を要します。
到着後に決裁者が目を通したり内容の修正などが発生したりするとさらに日本からの契約書再送業務が発生してしまい、締結までに時間を要するのです。
また、郵送途中で契約書が紛失する可能性も考えられます。
こうした時間のロスは、電子契約では発生しません。
電子契約システムを使って英文契約書を締結すれば、契約内容をすぐに相手側に渡せるため、送ったその日に契約を締結できる可能性もあります。

契約書の細かな修正がしやすい

電子契約は、データの修正とPDFを差し替えるだけで修正が可能。
例えば、取引先とのWebミーティング中に契約内容に修正すべき点が出てきてもすぐに対応できるため、時間や手間をかけずに契約処理を進められます。
一方、紙の契約書は書き損じ、印鑑のかすれがあると再度作成が必要です。たとえ軽微な修正だとしても契約書の再作成という手間が掛かるので、電子契約の方が効率的です。

電子契約システムを導入する際のポイント

電子契約を行うために電子契約システムの使用は欠かせません。
以下で紹介するポイントをもとに選ぶと、業務を効率化できるだけでなくセキュリティ面でも安心なシステムを選べるでしょう。

使いやすい操作画面か

効率化やコスト削減のために電子契約システムを導入したとしても、操作画面が不親切で使いづらければ効率化に繋がらず、ミスを誘発する恐れもあります。
取引先の理解しやすい言語に対応しているシステムを選ぶのも重要です。
言語以外にも、画面の操作が複雑すぎないかも重要なポイント。お試し版を利用できるシステムもあるため、実際に利用したうえで操作性を見極めましょう。

海外の契約締結に対応しているか

契約を有効なものとするためには、各国の準拠法の要件を満たす必要があります。
相手企業がアメリカであればESIGN法、EUであればeIDAS規則を満たしたシステムでなければ電子契約は成立しません。
英文契約書を締結する取引先の国の準拠法を確認し、それに当てはまる電子契約システムを選びましょう。

国際規格に沿ったセキュリティ対策をしているか

電子契約システムは、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格「ISO/IEC27001」を取得しているものを選びましょう。
サイバー犯罪を防ぐのはもちろんですが、各国・企業でセキュリティ要件に対する考え方が異なるため、国際基準のセキュリティを満たしたシステムを導入すれば日本よりも基準が厳しい国や企業にも対応できます。
また、信頼できる電子認証局を利用しているか・ファイルや通信を暗号化しているかなど、選ぶ際には多方面からの対策が行われているシステムなのかも確認しましょう。

英文契約書の電子署名を検討するならプロの意見も頼ろう

海外企業が取引先の場合に欠かせない英文契約書は、日本・取引先国、それぞれの準拠法を満たしているか確認が必要です。
さらに、電子契約の締結を目指す場合は電子契約関連の法律も確認しなければなりません。
認識が甘ければ、取引先とのトラブルや契約を無効にしてしまう恐れがあります。
自社に十分なノウハウがなく対応しきれないと考えられる場合は、英文契約書に精通している企業に相談するのもひとつの手です。
プロのサポートを受ければ、英文契約書の電子署名導入をスムーズに進められるでしょう。